「スマホを落としただけなのに」シリーズの3作目である、「スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス」のあらすじと感想を書きます。
※東京オリンピックネタが中心です。1作目・2作目は映画化されましたが、今回はかなり微妙。
本作は2作目の「囚われの殺人鬼」と関係性が深いです。
2作目の「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」をまだ読んでいない方は、読んでから本作を見ることをおすすめします。
※なお、ネタバレを期待している人は、本記事では書かれていなので注意してください。
「スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス」登場人物
シリーズ3作目は、1作目・2作目の登場人物も出てくるので、主要人物のみ解説します。
本作は、シリーズ1・2(特に、2の方)を読んでから読むことをおすすめします。
登場人物は多く、警察サイド・ハッカーサイド・被害者サイド・物語との接点が分からない人物の理解が必要です。
警察サイド(赤線は主要人物)
■桐野 良一(きりの りょういち)
天才的な才能をもつプログラマー。セキュリティ会社時代の実績で、サイバー警察に転職。
シリーズ2では、天才ハッカーの浦井と協力して「M」の行方を追っていたが、そのスキに脱走される。
東京オリンピックのサイバー犯罪対策の部署に応援に行くことになった。
■松田 美乃里(まつだ みのり)
桐野の恋人。シリーズ2では、「M」のターゲットとなった。
父親の会社の経営難で、夜の仕事をしている。
■兵頭 彰(ひょうどう あきら)
公安警察。シリーズ2で、桐野と知り合う。
■三嶋(みしま)
兵頭の部下。兵頭と行動を共にしている。
ハッカーサイド(赤線は主要人物)
■浦井 善治(うらい よしはる)
天才ハッカー。シリーズ1の連続殺人鬼であり、今回も主要人物である。
シリーズ2では、警察の桐野と協力して、「M」の逮捕に協力。
警察のスキを突いて脱走し、北朝鮮にいる。
■崔 淑姫(チェ スクヒ)
浦井の世話役。
※韓国の絵本作家のチェ・スッキさんとは関係ありません。
■バタフライ
今回の事件の黒幕。警察サイドのスパイ。
被害者サイド
■富田 麻美(とみた あさみ)
シリーズ1の被害者で、黒髪の美人。今回も、浦井に狙われる。
■富田 誠(とみた まこと)
麻美の夫。
物語との接点が分からない人物(赤線は主要人物)
■粟野 有希(あわの ゆき)
ごく普通のOL。彼氏の浮気が発覚してから、身の回りに奇妙な出来事が起きる。
■瀧嶋 慎一(たきしま しんいち)
スマホを落とした際に、有希と知り合う。
彼氏と別れた日に、有希とばったり会う。
■蝶野 泰子(ちょうの やすこ)
夜のホステス。当然ながら、本名でない。
■竜崎(りゅうざき)
泰子に、謎の行動(スパイ)をさせている男。
スマホを落としただけなのに3のあらすじ
物語は、A(有希視点)、B(竜崎視点)、C(浦井視点)、D(桐野視点)で進行します。
東京オリンピックのサイバー攻撃を防ぐ話(C・D)
ざっくり言えば
- 北朝鮮に逃亡した浦井が、淑姫と協力する
- 東京オリンピック開催時に、サイバー攻撃を仕掛ける
- 目的➀:サイバー攻撃の身代金を日本から奪うこと
- 目的➁:浦井が麻美を再度狙うこと
ということを、桐野・兵頭・三嶋が防ごうとする話です。
なお、桐野の恋人の美乃里は黒髪にしており、父親の会社の経営難をどうにかしようと夜の街に働きに出ています。
一見すると接点のない、粟野有希(A)
他方、一見すると接点のない、粟野有希が登場します。
- 恋人の浮気が発覚して別れる
- そのあと、瀧嶋が現れる
- 瀧嶋が、有希の前から消える
という奇妙な出来事に遭遇します。
ちなみに、有希は黒髪です。
蝶野泰子と、竜崎(B)
夜の街で働くホステスの蝶野泰子と、竜崎が、たびたび登場します。
そして、竜崎は金を引き換えに、蝶野泰子に2つのことに協力させます。
- 政治家をハメて、スマホに遠隔操作ウイルスを感染させる
- 記者をハメて、スクープ写真を人質に偽の記事を書かせる
なお、蝶野泰子は、黒髪です。
東京オリンピック開催時に、すべてが明らかに【見どころ】
浦井の目的である
- 目的➀:サイバー攻撃の身代金を日本から奪うこと
- 目的➁:浦井が麻美を再度狙うこと
は、どうなるのか?
- 有希におきた数々の奇妙な出来事は、何だったのか?
- 蝶野泰子、竜崎、瀧嶋の目的はなにか?そして、誰なのか?
は、読み進めていけば、東京オリンピックの開催時に明らかになります。
※これ以上書くと、読む面白みがなくなるので、本を買って読んでくださいね。
スマホを落としただけなのに3の物語の感想
スマホを落としただけなのに3の物語の感想について、良い点3つ・残念な点2つを書きます。
まずは、良い点から。
次に残念な点です。
<良い点>物語のスケールが大きく、臨場感は抜群
物語のスケールが大きく、臨場感は抜群です。
果たして、東京オリンピックの開催時に、日本はサイバー攻撃から守れるのか?
特に、1作目と2作目で浦井の才能を理解している読者にとっては、天才ハッカーの浦井が、何をしてくるのかがわからない臨場感はたまりません。
これが、1作目と2作目を読んでおいた方がいい理由でもあります。
<良い点>スパイ(バタフライ)の正体をわかりづらくした点
スパイ(バタフライ)の正体をわかりづらくした点は、かなりいいです。
普通に読み進めていけば、ほぼ気づかないでしょう。
さらりと書かれている、ある箇所が、スパイが誰であるかのヒントになっています。
お見事です。やられました。笑
<良い点>粟野有希と蝶野泰子と、物語の接点のモヤモヤさ
まず、粟野有希が出てきます。
次に、さらに蝶野泰子が出てきます。
そのあと、桐野と浦井の話(物語の本編)が始まります。
並行して話が進み、粟野有希と蝶野泰子と、物語の接点は後半にならないとわかりません。
果たして、粟野有希・蝶野泰子・桐野サイド・浦井サイドとの接点は、何なのか?
途中までモヤモヤ感が強く、早く読み進めたくなる工夫だと思います。
<残念な点>麻美の描写が雑すぎ
浦井は、1作目でターゲットにした、麻美を再度狙います。
しかし、麻美の描写が雑。もう一回狙われているのに、、、。
物語の進行のために、仕方なく出てきた感が強いです。
<残念な点>後半になるにつれて、ネタバレが雑になる
描写が、後半になるにつれて、ネタバレが雑になります。
- 有希視点(A)と竜崎視点(B)
- 浦井視点(C)と桐野視点(D)
この2つセットを2冊にできるレベルです。
(読んだ人の後付けと言えばそうですが・・・)
物語の前半に張った伏線と、それに伴う結果は、後半に急ぎ足で回収されます。
前半が丁寧だっただけに、2冊に分けてでも、4つの視点を丁寧に書いてほしかったです。
スマホを落としただけなのに3のあらすじと感想のまとめ
「スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス」(3作目)の、登場人物・あらすじ・感想について説明しました。
良い点を再掲します。
総評すると、物語のスケールが大きく臨場感があります。
続きが気になるように多くの伏線を張りつつ、天才ハッカー浦井が仕掛けてくるサイバー攻撃はどのようなものか?
読んでいくうちに、世界観に引き込まれていくことでしょう。
ぜひ一度、シリーズの3作目を読んでみてください。
スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 3作目の小説をこれから読みたい
- 1作目・2作目のあらすじを忘れた
- 暇だけどDVDをレンタルするのが面倒
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